施工事例

襖(ふすま) 修復 ふすまリフォーム:70年以上の汚れを修繕

ふすまの張替えの究極形。70年以上経った、本金張りのふすま絵の修復。

施工前後

Before

70年以上の汚れと幼かりしお子様のいたずらの跡、さらに震災後の長期に渡る修繕のため、蔵へしまっておいたため湿気でカビがたくさんできてしまいました。

After

2ヵ月後の納品時。考えられるすべての手間を掛けました。その甲斐あってお客様には驚きと感動を持ってご満足いただきました。

Before

4枚建てふすまの右から1枚目。70余年の汚れは相当しつこく付着していました。

After

作業場内での同条件での撮影。新品当時の再現は無理ですが、光の反射加減がまったく違います。

Before

鳥の絵の具が一部剥落していました。

After

仏絵師の村上惠那さんに加筆していただきました。

Before

4枚建てふすまの右から2枚目。カビ(斑点)が目立ちました。

After

カビを完全に除去することはできませんでしたが、金色の輝きの復活は、それを補って余りある結果になりました。

Before

赤丸内に注目。鳥の絵の具の剥落と、岩の部分が破れていました。

After

鳥は加筆のみ、岩の破れは裏打する際に補修し、上から加筆していただきました。

Before

4枚建てふすまの右から3枚目。お日様はぼやけ、左下部には破れがありました。

After

お日様ははっきりくっきりとなり、破れも裏打時に修復しました。

Before

お日様のアップ。

After

お日様は、付着した埃を除去し、絵の具止めの薬品を塗布しました。

Before

4枚建てふすまの左端(右から4枚目)。引き手周りのカビと上部隅部のしわが目立ちました。

After

引き手回りは、気にならないレベルまで修復できました。しわは、1級表具技能士の名に掛けて出しません。

Before

右から3枚目の破れ部分。

After

和紙ならではのマジック。

Before

筆者は、梶野玄山(かじの・げんざん)と推測。玄山の下の晨英(しんえい)は別号のひとつ。明治元年~昭和14年・72才没。

After

最晩年に描かれたとしても、71年前。これだけの大作なら、油の乗り切った40~50才とすれば、90~100年前の可能性もあります。

Before

最新の注意を払ってふすま絵をめくり終わったところ。のりしろまで残さなければなりません。(左端)

After

裏側から見れば下張りがどれだけ細かく丁寧にされているかがわかります。これもこの後めくります。(右より3枚目)

Before

引き手は元の型を覆うように大型の御殿引き手を新調しました。

After

穴を同じ位置に張り戻すのも、なんでもないようでとてもむずかしい作業です。

施工中・施工後の様子

新たにふすま絵に裏打を施しているところ。
古代色に染めた和紙で裏打します。
非常にカビのキツいところは、金箔の内側まで侵食していました。
薬品をティッシュペーパーに浸して、少し吹いただけでもこの通り。長年の汚れがごっそりと出てきます。
実は裏側には、立派な龍のふすま絵がやはり4枚続きで描かれていました。今回この面は、仏間ということで既製品のふすま紙を張らせていただきました。
もちろん、きれいにめくったものはお客様にお返しいたしました。近い将来屏風にされることをご提案させていただきました。

こちらの施工例の費用目安 ※

※ 費用は施工当時のものです。

費用は材料費等の価格に合わせて変わりますので、費用をお知りになりたい方は「お見積り」よりお問い合わせください。

施工時期平成21年3月(約3ヶ月)
施工時費用めくり、洗い、補修、再裏打、張込 1枚当たり58,300円×4枚
裏面鳥の子張替 22,000円×4枚
椽(ふち)取替 本漆塗り、艶消し 1枚当たり26,000円×4枚 引手 6,000円×4個(すべて税別)

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